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良いもんつたえ隊 【映画でじぶんを変えてゆこう】

映画を中心に、漫画や小説など面白い作品を紹介していきます!!

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』購入!あらすじ感想を語ります

雑記

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

「私も描きたい、よくそんなの公開できるなって思われるような自分の事を…!」

pixiv閲覧数480万超の話題作が、全頁改稿・描き下ろしで書籍化!!

依存してしまう人の心理はどうなってるの? 依存から脱出して自立するために必要な意識とは? などなど人間の心理に迫っていく本でした。

 

 

なんで急に一念発起し風俗へ来たか

そうしてどうなったのか

自分が自分として生きるため

そして大人になるために「甘い蜜」を見つけだす

 

10年間の話

 

 

↓巷で話題の『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(永田カビ著、イーストプレス発行)購入しました! 

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28歳、性的経験なし、生きづらい人生の転機。

「心を開くって、どうするんだっけ…」 

これはレズ風俗に突入するまでの作家の心理の物語……。

 

↓目次です

 

 

本書はレズ風俗を体験するまでの心理の変化を緻密に描写していて、非常に論理的なストーリーになっています。依存してしまう人間の考え方、そして依存症から脱出する瞬間。人間の心理の本質を抽出するのが上手い作家さんです。

奇抜なタイトルとポップなイラストが特色ですが、内容はラノベのイメージで軽いのかな~と読む前は思っていましたが。……とんでもない! 読んでみたら非常に濃い内容で、一コマ一コマに言いたいことがたくさん詰まっている作品でした。そのコマで何を伝えたいのかがはっきりしている。実体験を語っているだけあってリアリティも高い。

特殊な人間の「生きづらさ」を描いているため内容は重いのですが、イラストのかわいさで良い感じに中和されていて読みやすい作品です(通勤通学で読むには表紙がすこし辛い)。また、描写すべきところを描写していて無駄がまったくないのは才能ですね。まとめ方が非常に巧みです。

 

本書13pで自傷を繰り返す人の心理を説明しています。つまり

 

「不可視の心の痛みを言語化する事は時間と労力のいる作業だし、それより目に見えて因果関係もはっきりしているダミーの痛みを作ってそっちを見てる方が落ち着ける、手早くすっきりできる」

 

ということなのですが、この本は「心の痛み」の因果関係を言語化しようとする努力でできています。「マンガでじぶんを描くこと」は自傷の別のカタチ、なのかもしれません。自分の見つめ方、自分の心理への洞察が非常に深く、精緻な本。著者さんはいい眼をしていますね。芸術家肌を実感できました。

 

では、本書のあらすじを語っていきましょう。自分の考えも加えたいと思います。

 

 

「ボロボロになっていく事はうれしかった」(第一章)

 

著者永田カビさんは大学中退後「所属」を求めてバイトに励むことになります。しかし、徐々に心労が積もっていって拒食症を発症。拒食症はやがて過食症への逆転を起こします。

 

バイト先で過食衝動が起こった時にどうしていたか。賞味期限切れのカップめんをひたすら食します(そのままで)。

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アルバイトをしている中で心身ともに悪くしてしまった原因として、「何があっても私を認めてくれる居場所」をバイト先に求めてしまったからだと著者は述べています。バイト先の人間は家族ではないのでそんな風に優しく扱うわけもなく、遅刻早退で怒られたり「ここは学校じゃないから、必要とされないといられないからね」と言われてしまいます。「ああ、何か勘違いしてたんだな」と、この勘違いがストレスにつながったものと語っています。

 

結局バイトは解雇され、「居場所」を失った著者は不安にさいなまれるようになります。病院で「休んでみたら」と言われますが、家族からは厳しい言葉をかけられます。

 

↓先生に休めと言われたことを家族に報告する場面

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「今までずっと休んでたんやと思ってた…」と言われてしまいます(グサッときますね)。ここの文章がまた深い。

 

「ひとつ否定されると全てを否定されたみたいに受け取る」と言われる人は

既に95%否定状態のところへ5%否定されたか

元々の100%が少ないか

特定の誰かから否定されると全否定になるか

そのどれかもしくは全部じゃないかと思う、私は全部

 

「既に95%否定状態のところへ5%否定」はなるほどと思いましたね。否定的な感情は連綿と続いてるんだってことですよね。他人にとってはその時だけのことなんだけど、その人にとっては積み上げてきた不幸な人生の+1だと。人によってはそういう重みがあるということは注意しないといけませんね。

 

親に「休んでたんじゃないの」と言われた著者は家出をしようと決意しますが、結局居場所は見つかりません。「どうやって死のうかな」と一時は自殺を考えますが……。

 

↓布団の中で……

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生きるより死ぬことの方がメリットが多いことに納得がいかず、「なにくそ!!」と自殺願望に反発します。ここから著書の漫画家になるまでの長い暗中模索が始まります。

 

 

過食症や「体調がすぐれない」ことについてのマイ・オピニオン

 

当時の著者には拒食症や過食症だけでなく、肌の酷い荒れや傷の回復の遅さ、やけどのなりやすさお腹の壊しやすさといった体調の問題がありました。

 

↓当時の著者の体調。ヒーターにあたるだけでやけど。

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↑のコマに「でもボロボロになっていく事はうれしかった」とセリフがありますね。過食症や体調の悪さに対するこの感情について、著者は次のように説明しています。

 

傷付く事で何かが免除され人が私を承認するハードルが下がり

居場所がもらえると思っていた

 

人としてのハードルが下がると。できることが少ないんだと思ってもらえると。この思惑がすべてだと思いますが、それ以外にも次のような腹の内もあるのではないか。

何かしないといけない、していないといけない。“何らかの義務”を持ってそれを遂行継続しないといけない。そういう心理もあるのではないかと。過食や拒食で何かやっている感じになりたいんじゃないかと思うんですよね。私は義務をちゃんと行っていると。それは焦りでもあり苦しみでもあります。

 

この観念には「世間一般で言われているようなことはしたくない」という気持ちが隠れているように思います。親の言うようなことはしたくない、と。やるべきことから逃げて、「ご飯を食べまくる」「ご飯を抜く」「体調を悪くする」ことに努力しているんじゃないかと思うんですよね。やるべきことを誤解してるのかもしれません(それは正社員になることじゃない)。

「何かしていないといけない」という気持ちを持っていることは素晴らしいことで、その素晴らしさをもっと持ち上げるべきなんだ。根本にある気持ちは偉いと。そう思って自分に自信を持つことができれば、やるべきことは努力の方向を変えることだということにも気づけるはずです。たったそれだけなんですが、それが一番難しい。誰にとってもそうだと思います。「やるべきこと」は「世間の言っていること」ではないのだということに気づいた著者は、漫画を描くことに努力を向けるようになりますが。

それは後の話。

 

 

暗中模索の前日譚(第二章・前編)

 

一念発起した著者は食事や散歩で体調を改善していき、日常生活も「普通」の生活に戻すことに成功します。パン屋でバイトもはじめ、貯金が100万円になるまで働きますが……。

 

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「何にお金を使えばいいかわからない……虚しい……」という状態に陥ります。家にお金を入れようとしますが、「正社員になってからで」と断られます。正社員ではないという劣等感と向き合い、正社員を目指すことにしますが……。

 

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「…目指すしかないようだな、正社員を」と意気込んでみたのはいいものの、面接でことごとく断られます。しかし、その経験は決して悪いものではなく……。

 

 

「おい!」「マンガ、がんばれよ!」

 

以前アルバイトしていた所とは別のパン屋二軒と整骨院の面接に向かった著者。面接官との会話や彼らの仕事への想いを聞いて自分の本心に気づかされます。

 

↓二軒目のパン屋での面接の様子

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面接を担当した人から「マンガの話してた時は目がキラキラしてたよ」と言われる。志望動機は何となくでしか喋れなかった著者に対する一言ですが、含蓄のある言葉だと思います。この時点ではまだ自分のやるべきことに気づきませんが……。

 

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わざわざ扉の所にまで来て「マンガ、がんばれよ!」と声をかけてもらえました。「今まで漫画を描くことを肯定も否定もしたことなかったけど、絶対がんばりたい」。この小さな応援が「漫画家になる」という気持ちの大きなトリガーになります。

しかし、家族という壁は大きく……。(『母親に対する性欲と向き合う(第二章・後編)』で!)

 

 

仕事が楽しい大人、楽しくない大人

 

バイト先を探す中で出会った人達について、著者は↓のように描いています。

 

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「大人はみんな何も楽しくなくて苦しいんだと思ってたけど」子供のころはそう思いますよね。子供が出会う大人は「両親」か「先生」という狭いカゴテリ―ですから。その中に仕事が好きだと言う人がいたかというと……いませんでした。教師は(大学で)とりあえず教員免許取っておくかという人が多いと思っていますし(偏見の可能性は十分ある)、両親は両親で「お前のために汗水たらして頑張っているんだぞ」ですし(「汗水たらして」と道徳的に言うのではなく、「我慢して」と正直に言った方がいいと思う)。なかなか仕事が好きだ! という人には出会えません。

しかし、ラッキーなことに著者は仕事を本当に好きでやっている人達に出会います(面接で!)。そういう人は余裕があってニコニコしていると。仕事を好きと思えるかは人生に向き合ううえで非常に重要なことだと学びます。自己啓発書に書いていることはあながち嘘ではないのですね。

(う~ん、子供のころにこういう体験が出来たらな~。好きなことをやることは本当に無謀か? そんな風に生きられるのは少数だけと言われますが、誰だって「何かの少数」なのではないか。と思いますけどね。)

 

 

このシーンについて、もういちど

 

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もう一度さきほどのページを引用します。さりげないシーンですが、大切なポイントを含んでいると思います。それは、固定観念に縛られている」ということ。「アルバイトだから部屋は借りられないよ」という。同じように「正社員じゃないといけないよ」という思考停止もありました。

「正社員じゃないといけない」という伝聞を自分で考え直さないといけない時代が来たのかなと思います。最近はpixiv(この本のように)や小説家になろう、同人活動からプロになるケースが増えてきています(SNSの発展も貢献している)。デビューの間口が広がってきているので、固定観念を外して物事(エンタメ)を見た方がいいですね。この本が売れていること(現在第7刷)が「著者は漫画家になるべきだった」と証明していますし。いろいろ自分で考えないといけない。親も、子供も。そう思いましたね。

 

 

「母親に性欲を感じること」と向き合う(第二章・後編)

 

さて、漫画家になることを決意した著者でしたが、家族からの理解はもちろん得られません↓。

 

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「自分は納得してるけど他人が納得してない居心地の悪さ」の方が虚栄心より苦しくないのは意外。自分が優秀だなんていう考えはとっくの昔に捨ててましたからね。それより考え方の違いで孤独を感じるようになりましたが、こっちの方が楽だったとは……。自分のやりたいようにやってるからかな(正月の親戚の集まりが怖いwww。今の若者が中年になった頃にこの文化なくなりそう)。

 

正社員という圧力に悩みつつ貯金が尽きてまたバイトを始めようとしますが、面接にはなかなか受かりません(というか面接直前で逃げてしまう)。漫画家としてデビューもしますが以前と同じ状態(以前よりひどい?)になってしまいます。それは「頭の中身がボロボロこぼれるようで文章が読めない」ほど。

 

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薬でこんなに変わるんですね。薬は少し怖い存在ですけどその効果も無視できません。文章も読めるようになったところである本に出会います。

 

 

「思春期の子供と心の病気」的な本を読んで

 

思春期の子どもの心理を描いた本の一部に「家庭内暴力」についての項がありました。そこに書かれていることが自分にも当てはまる! と著者は語ります。

 

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「なんなら今もベタベタしてる」は結構衝撃的な内容でした。母親への依存が暴力にも変わってしまうということなのでしょうか(著者は暴力を振るってない)。

そして、母親への性欲についても。

 

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なかなか描けない内容。著者さん勇気あるなあ。母親のおっぱいをついつい見てしまうと。この「自分の独特な性欲に向き合った経験」がレズ風俗体験にも大きくつながっていきます。自分が何から逃げているか。親との関係を考えていくことで“それ”に気づきます。

 

↓この時点の著者の状態。「もうそんなのいいから抱きしめろ!!」

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自分が望んでいる母親とは、「自分を受容してくれるクッション」のような「母という普遍的な概念」だということに気づいた著者。その気持ちがどんどんエスカレートしていって↑の状態に至ります。この「抱きしめられたい!」という気持ちが「レズ風俗に行って抱きしめてもらおう」という意志に変わっていきます。自分の本心を行動に移すことができるようになっていくんですね。自分の弱さを知ることで。

 

 

子どもの心、大人の性欲

 

著者は自分の内面をズッズッズと掘り下げていく中で、大切に守ってきた“弱さ”を認識します。

 

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それは「偽物の自分」に主導権を渡していたこと。『親の事を思ってるつもりなのに少しも満足されなかったのは、親じゃなく「親のごきげんをとりたい私」の要求で的外れな努力をさせられていたからだ…』と。「親>自分」だったから今までずっと辛かったんだと知ります。

 

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親にマイクを渡してきた人生だったから、自分にマイクを向けられても何を言えばいいのかわからない。本心が分からない、と。他人に主導権を渡すことで責任を放棄する心。本心通りに行動するのは怖かったんじゃないか? と推測できますね。そして……。

 

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自分が何から逃げてきたかをついに知ります。それは、“性的なこと”。性を経験しないことでいつまでも子供でいることができる。大人の土俵に立たなくていいし、親からも可愛がられ続けるだろう。そんな風に自分は考えていたんだとわかります。子供でいれば本心にも向き合わずに済む。主導権を持つ必要もない。そんな甘えがあったんじゃないか、と。「もう大人なんだから性的な事に興味を持ってもいいだろ!」と考え直した著者は、ついに……。

 

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なぜか夜に起こる謎の行動力を発動させます。「創作の幅が広がるし(この経験も)役に立つんじゃないか」という魔法の言い訳を添えて。

 

 

ついに予約してみる!(第三章)

 

スマホで検索してレズ風俗って意外と簡単に行けるんじゃないかと思います(この時点ではまだ予約はしない)。

 

↓結構簡単にレズ風俗に手を伸ばせると知ったあと

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「世界は広くなっていた」

 

視界が開けて世界が広く感じたと語っています。自分の内面ばかりを見つめることで狭くなっていた視野が自分の外側に向かったと。世界はそんなに難しくないと気づいたということなのかもしれませんね。

 

外側に目を向けたことで他人からの自分の見え方にも配慮するようになります。具体的には、

 

・除毛する

・お風呂に毎日入る

・下着も毎日着替える

 

といったことを習慣にしていきます。このルールを続ける中で消耗品はすぐになくなるし、買い替えたりすることは手間のかかることだったんだなと知ります。

この「手間を感じる」という感情はポイントですね。最初の第一歩は手間を感じること。二歩目は障害をクリアしてサクサク進めるようになること。これが何かを始める、自分を変えることだと思います。自分の人生に向き合いだす。そうすることで…。

 

・周囲の人の対応が変わる

 

実際にお母さんからは「元気そうね」と声をかけられたり。漫画家としての仕事も上手くいくようになって著者の環境がどんどん変わっていきます。しかし、力をくれていた「レズ風俗」が雑念に変わって集中できない。「もう行ってしまおうか」とも思いますが、最大の敵がいました。

 

 

レズ風俗に突入する著者に立ちはだかった最大の敵=ハゲ

 

↓レズ風俗のシミュレーション

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「うわっ あかん。思ってたよりあかん」 

髪の毛をペロンとすると、そこには……。キャラクターの跳ねている毛は自分への関心のなさを暗示していたのかな、と思いきや抜毛症も表現していたんですね。ニキビでも身長でも理由をつけようと思えばいくらでもつけられますので、こういう障害は誰にでもあるっちゃありますが。作者はそれでもレズ風俗に予約を入れます。スゴい勇気。

 

さあ著者はどうなってしまうのか!? 当日ちゃんと待ち合わせ場所に行けるのか。第四章が始まります。

 

 

ついにその時が来たのである(第四章)

 

ついにその日がやってきます。着ていく服がないと死体になりながら、「今まで肯定できなかったものを肯定し、行けないと思ってた所へ行くために行かないといけないのだ」と決意を固めながら。少し早めに家を出発します。そして……。

 

 

お嬢登場! イメージは上原亜衣?

 

↓待ち合わせ場所で

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ゆかさん登場! 明るそうな方ですね。イメージは上原亜衣でしょうか? ちがう? 二人はこの後ホテルに向かい、あれやこれやの夜(昼?)を過ごします。

 

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どこまでブログに載せていいのかわからないので、ここからは実際に本を読んだ人だけのお楽しみということで!(エロさはそれほどありませんが、お嬢とのやりとりはリアルに描写されていました。20pほど)

 

↓事後。おねえさんやさしい。

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あまり上手く接することができなかった著者に対してのお嬢のセリフがいいですね。「ここ以外のプライベートでもね! 幸せになってくれよ~~」。著者さんの状態や心理をちゃんと理解されてたんだとこの発言からうかがえます。著者もそれをわかっていて「ごめんねおねえさん、ありがとう…」と心の中で感じています。

 

↓別れの場面。右下(暗くなっていてホント申し訳ない)で手を繋いでいるのが見えますか。

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最後のコマの小さな背中がいろいろなことを語っているね。お姉さんの優しさに対して「心を開けずそれをひとつ残らずこぼして受け取れずに」別れたという後悔やふがいなさが感じ取れました。「私はこんなもんか」という諦観なのでしょうか。絵のアングルが素晴らしい!

 

 

レズ風俗を経験して悟ったこと(第五章)

 

↓レズ風俗後 

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「セックスは高度なコミュニケーション」「ファーストキスの感触はトマト」といった“性の実際”を体験し、“知っている側”に仲間入りした著者。変なこだわり(アイデンティティでもある)を捨てて身軽になった感じが↑のページでよく表現されてますね。めっちゃ楽だと。背負っていた荷物を降ろしたんですね。

セックスへの偏見が無くなった著者はレズビアン雑誌を読んだり、ネットで検索したりして性の知識(?)を深めます。BL(ボーイズ・ラヴ)についても。

 

 

BLが好まれる隠れた理由

 

↓「やおい穴」とは…

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どうして私はBLは読むのに女×女の同人誌を全然読まないんだろう? それは「ファンタジーのエロを求めているのではないか」という結論に行きつきます。ファンタジーのエロ、他人事のエロ。そういうエロを求めるからこそ自分と同じ女性が出てくる作品は見れない、と。

BLには当事者にならずに済むというメリットがあったんですね。女性が出てきてしまうと現実の自分と重ねてしまったり、比較してしまったり。そして現実に傷ついてしまうと。BLではそういうリアルなダメージが生まれないということなんだと思います(あんまり理解の無い意見かも)。やおい穴高性能ww。

 

BLだけでなく太宰治川端康成を読みながら考えます。「どんなのだったら人はお金を払ってでも読みたいと思うんだろう。……自分なら?」と。私なら人に言えない秘密が書いてある本を読みたい! という気持ちが本書を描かせたんですね。

 

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「私も描きたい。よくそんなの公開できるなって思われるような、自分の事を…!」

 

この想いがこの漫画につながっていきます。ここからpixivにあげた草稿に対する感想反響への感謝の気持ちや、著者のその後を描いています。

 

 

レズ風俗が見つけさせた「生きる意味」

 

レズ風俗のレポを描き終えることであることに気づきます。それは「私、自分の事なら描けるのかもしれない」ということ。「描いていて楽しかったしもっとやってみたい」という感情が芽生えます。レズ風俗の体験は種を与えてくれたのですね。これからどうしていくかということの。生きる理由について↓のように語っています。

 

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このページの『居場所といっても「席」のようなたしかなものじゃなく流動的で形が無く』という言葉が大切だと思います。この不況で正社員や学歴(学校)といった「席」(所属やアイデンティティ)を求めてしまいますが、それは居場所モドキに過ぎないと。「生きる理由、生きる力、この世の居場所」は自分で考えて探していかないといけないということだと読み取りました。

 

このページにある「甘い蜜」という言葉が指し示すことは何なのか。著者にとっての甘い蜜が↓。

 

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普通に生きていける人は「甘い蜜」を舐めているんだと思っていた著者でしたが、ついに自分にとってのそれを見つけます。それは「発信して人に届く事、人に認めてもらう事」。甘い蜜は幸福感とも言いかえられますが、著者にとっての幸せが“漫画という形態での発信”だったんですね。「自分だけ大人になれないとか思わなくなった」と、自己肯定感を持てるようになりました。

 

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動けないことの本当の理由、それは本心を無視しているからであってそこから抜け出すためには本心を大事にすること。「親が言うことは子供へのしつけであって、自分の人生は自分で考えていかないといけないんだ」とありますね。自分への投資は時間がかかりますが、やっていかなくてはいけない。自分の本心に従って長いスパンで勉強していく。それが重要なんだと思います。

 

“親の考える立派な大人像”は「家事が出来て」「定職に就き」「安定した収入」がある人。

“著者の考える立派な大人像”は「家事が出来るより」「自分がしたい事をして社会的に認められていて」「収入が安定しているとは限らない」。そんな人間になるために親のご機嫌をうかがうのはもうやめようと著者は決意します。

 

「親不孝が怖くて自分の人生が生きられるか!」とね。

 

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パンツの余韻よ……書き下ろしのラストも面白いよ!

 

 

Amazonのレビュー件数207件!(2016/11/11時点の情報。どんどん増えてってる)。「著者のように親に縛られた人はたくさんいる。それは経験しないと分からない」という意見もあれば、「いや、親はやるべきことをやっている」という意見もありました。みんなよく考えているんだな~。

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

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