良いもんつたえ隊 【映画でじぶんを変えてゆこう】

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「君の名は。」良かったトコロ②【アイデア】※ショッパナからネタバレしてますので、ご注意を

ここからはネタバレ満載になりますので、ご注意ください。

前回の記事では“本作の映像美”について説明しました。

今回は【「君の名は。」良かったトコロPERT②】ということで、“作品のアイデア”について語っていこうかと思います。

 

一番はやっぱり3年のズレ

そうか~時間をずらしてみたんか~なるほどな~。てかこんなん誰も思いつかんわ! このアイデア出した人すごいやん、誰や!! って三葉が3年前に死んでるとわかる場面で思いましたね。昨今入れ替わりを主題にした作品は数多くあれ、そこに時間(時空)というSF的概念を組み合わせたのは新しい。「入れ替わり×時間のズレ」。このアイデアが最初にあったんじゃないかな~と僕は推測しています。このアイデアひとつで“作品の根幹をなす謎”をつくることができましたから。電話がつながらない? 突然出会えなくなる?? なぜ??? このアイデアが閃いた瞬間は(あるいは制作に携わる人たちに伝えられたときは)、彼らが自信を持てた瞬間でもあるのではないのでしょうか。これは売れるぞ、と。よくある恋愛ドラマがSFの落とし穴に嵌る。う~んそうきたか!

なお、過去の人間と交信することで過去自体を変えていく作品は、『オーロラの彼方へ』という作品があります(ほかにもあるのかな?)。この作品と比べてみますと、本作の交信するのではなく入れ替わるという設定はなかなか大胆ですね。オーロラの彼方へ』観てたんですけどね、過去との交信という設定にこんな展開のしかたがあるとは。すごい人はすごい!

 

ANOTHERめずらしい“入れ替わり要素”

みなさんは「入れ替わり」と聞いてどんなシーンを頭に浮かべますか? 授業に遅れる~と急いでいる高校生女子が階段を踏み外して、偶然したにいた男子とぶつかって気付いた時には……。という場面が見えてきませんか? これが入れ替わりの典型的なパターンですね。この手法の特徴について注目してほしいことがあります。それは、入れ替わる二人は同じ場所(高校)に通うため直接的な交流を持つという点です。なるべく一緒にいることでお互いを監視したり、「いつもいっしょにいるなあ」とからかわれて「そんなんじゃない!」と同時に否定したり。“同じ時間を過ごす”という交流を通して二人の気持ちを深めていく。これまでの作品はこんな感じでしたね。

一方、「君の名は。」では主人公二人の住んでいる場所がかなり離れています。この設定は過去の作品にはない、主人公たちはダイレクトな交流を持てない、という特徴を生みだしました。空間的なギャップ。これにより直接会って話すことができない二人は、日記という形でしか話し合えなくなります。相手になって相手の世界を見て聞いて体感しているのに、文通のような方法でしかふれあえない。この制限が以下の表現につながりました。

・自分のいいたいことがうまく伝わらない(相手がなかなか聞いてくれない)もどかしさ

・会えない間に感情を溜めていくことで、三葉がついに会いに行くときのドキドキが観ている人の心に強く迫ってくる

・入れ替わりの停止は二人の交流がなくなることも意味するため、「入れ替わりができない、何で」という焦燥感が心を支配するほどの大きさになる

上手いですよね。すごい人はすごい!(二回目)。なお、“二人が離れている”設定は前述の3年の時間のズレを隠すためだと推測されますが、その副作用がいい方向に転がりました。天才的な設定から出たぼた餅、ですね。

ここまで従来との違いについて述べてきましたが、個人的には“会いに行く展開を創れる”のが一番の差異かなあと思います。

……こんなに長くなるとは。まだ書きたいことがあったんですが、次にまわします。

では。