『君の名は。』P川村元気著、『超企画会議』購入しました。超超超良!
本書は「シアターカルチャーマガジン『T.』」2011年12月10日発行16号~2016年3月19日発行32号に掲載された連載「勝手にハリウッド」 を加筆・修正し、さらに本書用の書き下ろしエピソードを追加したものです。(『超企画会議』p.179)
『モテキ』や『電車男』、最近では『君の名は。』のプロデューサーを担当したことで有名な川村元気さんの最新本(多分です、2016年4月初版発行)購入してみました。結論から……買ってよかった!!(最近これしか言ってませんけどね、でもいい本なんですよ)。プロデューサーほんとに映画好きなんだな~がよくわかる本でした。以下、購入の経緯や読んだ感想など書いていきます。なお、詳細な著者情報については川村元気‐Wikipediaを参照すべし。
↓目次
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買っちゃったぜ
先日TSUTAYAで何か面白いモノあるかな~と物色していたところ、↑のコミカルでキャッチーな表紙が目につきまして(吹き出し邪魔だな~)。ハワイのTシャツに印刷されているようなイラスト(行ったことないけど)に惹かれて、つい買っちゃいました。確かビジネス書の書棚にあったと思います。大きいトコロだとマーケティングの分類に置いてあるかもしれません。あんまり気づかれない場所に置かれていたな~。『君の名は。』プロデューサーの本はコチラ!! で大々的に宣伝してもいいんじゃないかな。もしくは、『君の名は。』のコーナーで紹介するとか。まあ、ええか。
本の内容は『超企画会議』はじめに、での著者の説明が分かりやすいですね。以下抜粋。
もし、いきなりハリウッドに呼ばれて企画会議をすることになったら?
スピルバーグやウディ・アレン、イーストウッドやタランティーノ。
彼らといきなり打ち合わせすることになったら、僕はどう考えて、何を話すのか? 最高の空想と最悪の空想を往復しながら、僕は企画や物語を日々考えています。
この本は、そんな僕の空想が生み出す「超企画会議」をまとめた本です。
『超企画会議』-p.3(下線筆者)
天才は1%の現実と99%の空想からできている。そんな風に感じられる内容でした。本書では何回か「二十五行目前くらいからすでに空想がはじまっています」と書かれていますが、この一文が本書のイメージを的確に表現していますね。2ページ目くらいから空想に入ってますよ~、みたいな。『超企画会議』の、はじめに(4ページほど)、では川村元気さんの「独特な空想のしかた」と「その効果」について説明されています。↓こんな感じで。
著者は超超超ネガティヴな性格らしく「スケジュールやばい」やら「大爆死」やら、最悪なことばかり想像してしまうそうです。そんな逆境の中で自分がやれることをよく考えると。でも、そんな心配ばかりしていたらストレスが溜まってきますよね。そこで、ポジティヴ! の登場です。
川村元気氏にとってのポジティヴとは、ハリウッドで巨匠と企画会議をすること。「こういう企画はどうですか」「こんなアイデアで映画をつくりませんか」といった提案を、偉大な映画監督にぶつけて。向こうもアイデアを出してきて。それにまた自分のアイデアを重ねていく。そんなやりとりを空想しては日々楽しんでおられるようです。そんな空想を紙面化したのが『超企画会議』。ネガティブな人間ほどポジティブな想像を広げられるというのがよくわかる一品です。
その“空想の提案会”から自分が何に着目しているのか、どんなやりとりを経て周りを巻き込んでいっているのか、巻き込んでいきたいのか。「川村元気なりのクセ」がわかってきたと。空想がわからせてくれたと。そんな風に自分を掘り下げることができたと語られてますね。
良かった点は……
・はなしのバリエーションが豊富(14章どこをとっても読む味が違う)
・各映画監督の性格や会話が表紙や挿絵に負けないくらいコミカルに描かれている
・川村元気さんの知識や考え方、やりたいことなどが旅行記のようなテイストにちりばめられていて読みやすい。
・担当編集小川クンの結婚までのいきさつが熱く語られている(嘘です)
空想の旅行記というイメージが個人的にはピッタリかな。アメリカへと出発して向こうで偉大な映画監督と出会って、という妄想。いろんな人が出てきますよ。スティーヴン・スピルバーグとか、クエンティン・タランティーノとか。全部空想ですけどw(マシ・オカとの対談はホンモノ)。
この本、とくに見出しが面白いんですよ。「ウディ・アレンと『モテキ』を作ったら?」とか、「マシ・オカと『電車男』を作ったら」とかね。仮定がバラエティに富んでて飽きさせませんし、その空想の中で繰り広げられる話がまた好奇心をそそる。↓のような仮定の中の仮定の話がいいスパイスになっていますね。
・『モテキ』が海外でリメイク決定(されたと仮定して)、長澤まさみを含むあの4人のキャラクターを海外の女優から選ぶとどうなる?
・ピクサーのジョン・ラセターと『モンスターズ・〇〇〇』をつくることになった! あなたなら〇に何を入れる?
というようなお題が結構出てきます。自分ならどうするか、考えるのも楽しい。森山未來役を『ハリー・ポッター』のダニエル・ラドクリフにする案がクスって来たね。そして最後のオチの人物w。ちなみに川村元気氏はスカーレット・ヨハンセンがお好きなようで、本書でよく名前が挙がってました。長澤まさみはスカヨハしかない、ってね。
実在の人物を架空の話で出すって、パロディOKなアメリカ的手法だよな~。レイ・ブラッドベリの短編(過去の作家が出てくる話。エドガー・アラン・ポーとかシェイクスピアとか)を思い出しました。アメリカの事情をよく知ってらっしゃる。『ハイスコアガール』で問題になりましたけど、パロディをどう扱うかはもう一度議論すべきですよね。という余談。
次回作のゴジラ?
個人的にはゴジラについての企画が一番面白かった。「ゴジラは兵器や災厄の象徴である。日本で地震や津波が起こるのは、実は海底に潜むあの存在が原因で……」。『シン・ゴジラ』でこの設定は取り入れられてたんだろうか。観てないからわかりませんが、著者は東日本大震災の10年後にこういうゴジラをやりたい、と語っています。
広島・長崎の原爆投下が1945年。『ゴジラ』の公開は1954年。
原爆投下の傷から、『ゴジラ』が描かれるまで、約十年の年月を日本人は必要としたともいえる。
2011年3月11日から十年。
2021年にゴジラがまた海から上がってくる夢を、僕は見る。
『超企画会議』-p.56
映画のいろいろな豆知識(Mr.タイタニックことレオナルド・ディカプリオは2016年に初めてアカデミー賞を受賞したとか)を学べたり、空想で繰り広げられるプレゼンテーションを通して面白い企画のプロの説明を目の当たりに出来たり。超超超勉強になりましたね。はい。
ではでは。
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